登山中に遭難者のご遺体を発見した時のお話。
今回は私が実際に体験したお話です。
ニュースでよく見聞きする遭難者のニュース。
登山をはじめてからは特に意識的に見るようになりましたが、それでもやはりどこか他人事として見ている自分がいました。
でも今回の出来事を通して、やはり山に入っているからには他人事ではないということを実感。
そしてこの経験を通して学ぶことがたくさんありました。
登山をする方々はいつか遭遇する可能性がある出来後だと考え、登山時に利用しているヤマレコとyamapのアプリでは経験した内容をシェアしておりましたが、こちらのブログでもシェアしたいと思います。
遭難者 発見
2022年2月某日。
友人と西大巓へスノーハイクへ。
グランデコからゴンドラを利用し、ゲレンデトップまでハイク。
ゲレンデトップから先の登山道から入山。
登山道に入って歩きはじめて15~20分・・約1キロくらい歩いた頃。
私たちの前を歩いてた先行者の方が
「あれは人の足じゃないですか?」
と声をかけられたのでその方向を確認したところ、ツリーホールからスキー板を装着した片足が出ているのを発見。
警察・消防へ連絡
スキー場へ連絡
スキー場の管轄外のため警察へ連絡するよう指示を受ける。
警察へ連絡
場所、状況を詳しく説明。
場所はスキー場や入山に至るまでのルート、緯度経度を伝える。
状況は発見時の遭難者の状態を説明。
後方から来た方々が訓練をされていた方々だったのか、硬直状態などを即座に確認してくれてその旨の内容も報告。
消防へ連絡
警察から消防への連絡も要請されたので消防へも連絡。
連絡した内容は警察へしたものとほぼ同じ内容。
今回は残念ながら硬直が進んでおりこの流れになりましたが、僅かでも蘇生の望みがある場合は救助・消防への連絡を優先になると思います。
警察・消防からの指示待機待ち
今回は硬直状態から事故・事件性二つの要素があるとのことで警察の指示を待っての行動。
頭からツリーホールに落ちており、体の半分以上が埋まってしまっている状態。
性別、所持品の確認が取れなかったため、掘り起こして確認して欲しいという要請を頂いたのでその場にいた全員で対応。
発見者のバックカントリーの方2名がスコップを装備してくれていたおかげですぐ出してあげることが出来ました。
所持品・登山届により身元は即座に判明
バックカントリーの方でしたがヘルメットを装着、アバランチエアバックのザックとかなりしっかりした装備をされている方でした。
残念ながらエアバックは作動しておりませんでした。
身分証等を探して欲しいとの要請があったので、ザックの中身なども確認させて頂きました。
ザックのポケットから前日の日付のリフト券。
登山届の半紙を発見。
身分証はアウターの胸ポケットの中にありました。
お財布の中に、免許証、保険証を入れて所持されておりました。
登山届を提出されていたことと、身分証を所持されていたことで身元確認が即座に出来、ご家族への連絡もすぐに出来たようです。
装備、所持品を見てかなりしっかりされている方でしたので本当に不慮の事故だったのではないかと思います。
身分確認後は、登山道沿いでかなり人目につく場所でしたので、ザックの中を確認した際、ビバーク?小屋泊?想定だったのかエマージェンシーシートとシュラフが装備されていたので、シートで包みシュラフをかけました。
このことから、登山届の提出の重要さ、身分証を所持することで即座にに身元確認が出来るということに改めて気付かされました。
身分証を胸ポケットなどに装備することで、何かしらのアクシデントでザックが体から離れてしまっても身元確認することが出来ると勉強にもなりました。
実はこの経験があり改めて考えてこの記事をアップしておりました。
警察・消防が到着するまでその場で待機
事情聴取等があるため、警察・消防が到着するまでその場で待機になりました。
発見者のグループ2名。
私と友人2名。
後方からきて場を仕切ってくれたグループ2名。
掘り出す際に手伝ってくれた方1名。
計7名でその場に残り到着を待ちました。
この日はまだ天候が良かったのでその場で待機出来ましたが、悪天候など自分たち自身が遭難してしまう可能性がある場合は安全な場所に移動することが優先になると思います。
結果、警察・消防の方々が来るまで2時間半近く待ったと思います。
かなり長い時間ではありましたが、残っていた方々と山の話などをしながら過ごしました。
現場検証・事情聴取
警察・消防ともだいたい同じタイミングで到着。
同じ内容を別々にお話しなければいけないため待ち疲れも相まって全員グッタリ。
特に今回は掘り起こして発見した状態から状況が少し変わっていたため。
その時の状況状態を口で説明するというのはなかなか難しかったです。
今回のような場合は、発見した際の状況を写真で残しておくと現場検証の際に役に立つのではないかと思いました。
これが正しい判断かは分からないので通報した際に警察に確認すると良いかと。
実際その状況に直面するとなかなか判断出来ないというのが本音ですが・・
それから・・
明らかに事故ではありましたが、第一発見者は事件性の面として容疑を疑われる立場にもなります・・
私たちは第一発見者ではなかったのでそのあたりは大丈夫でしたが、第一発見者の方はさらに聞き込みをされておりました。
我々の疲れも考慮してくれたのか、15分程度で事情聴取は終了して解散となりました。
その後、それぞれに西大巓へと向かいました。
解散して歩いていたらレスキューのヘリがきました。
その後無事ヘリで収容しましたと携帯にご連絡も頂きました。
西大巓まで行き、予報通り天気も崩れてきたのですぐ下山。
ゴンドラ乗り場で警察の方々と遭遇。
シートとシュラフは遭難者の方の所持品であることを伝え忘れていたのでそのことを伝えました。
その際にまた少し現場の状況確認もされました。
これが今回私が体験した出来事です。
今回の経験を通して・・
まさか自分がこのような場面に遭遇する日がくるとは思っておりませんでした。
でもその「まさか」がすぐそこにある遊びをしているんだな・・ということに気付かされました。
そして今回は発見するという立場でしたが、逆の立場になる可能性も十分にあることにも。
今回、私の友人、一緒に対応してくださった方々が的確に動いてくださったおかげで対処出来ましたが、私自身はほぼ何も出来なかったというのが正直なところです。
一緒に対応しながら色々学ばさせて頂きました。
逆の立場になった場合を考えた際も、登山届、身分証の重要さに改めて気付くことが出来ました。
登山をはじめてもう5年近く経ちますが、初心者だったころと比べると登山届を出すことを怠ったり、身分証を身に着けず歩いたりすることが増えていたので、考え直す良いきっかけを頂けたと思います。
このブログを読んで頂いている方も登山をされる方が多いと思いますので、今後このような場面に遭遇した際に少しでもお役に立てるようにと思いブログに綴りました。
最後まで読んで下さりありがとうございました。
今一度、登山の装備や入山する際の心構えなどを見直し安全に登山を楽しんでいきましょう。